上図は四日市市が上梓した広報誌からのイラストです。

イラストも吹き出し部分も含めて、少なからず失語症の方の心理状況が記されていると感じました。

 

失語症に関して医学的側面を記した書籍を挙げれば、枚挙に暇がありません。

このページでは難しい事は飛ばすわけにはいきませんが、極力噛み砕いて説明していきたいと思います。

失語症のメカニズムを知っていただければ、支援者の方も少し落ち着いて接することが出来るのではないかと考えるからです。

なぜなら、当事者が「分かってもらえている」という安堵感は言葉やコミュニケーション、何より人と会う気持ちに多大な影響を及ぼすからです。


失語症は発音や発声の障がいとは異なります。失語症を正しく理解することはご本人の気持ちにより寄り添うことに繋がると信じています。

そこで失語症の原因となる疾患の知識を紹介したいと思います。

 

 

 多くは脳卒中が原因です。脳の血管が破れる脳出血、血液や何らかの固まりが血管をふさいでしまう脳梗塞(こうそく)が主な要因です。

 

いずれにしても脳の言葉を担当する部分が何らかのダメージを受けることによって生じます。

 

上記以外にも、くも膜下出血や事故による頭部への外傷や脳腫瘍でも起こる事があります。


脳には様々な機能が備わっています。いわば専門家集団の集まりです。考える事が得意なトコロや覚えることが上手なトコロが存在します。

脳の中心部分から外側に向かって進化の足跡をたどる事が出来ます。左図の様に中心は「息をする」「体温を調整する」といった生存に欠かせない機能が集まっています。そして外側に人だけに進化獲得した考える機能が有ります。

 


おでこの真裏にあるのが前頭葉です。ここは脳の中でもさらに監督として脳全体を管理しています。

そしてここが最もヒトが人らしく存在できる能力を秘めています。

魚やチンパンジーも無い部分です。

 

こころの琴線に触れて涙を流す、人のために行動に移す、言葉で感情を伝えるなどはヒトだけが行える高度な行動です。


話す、声に出すことは「息をする」ことくらい当たり前の事だと思っています。

歩くことや心臓を動かすこと、まばたきをすることをいちいち考えません。それくらい普通すぎるのです。

それゆえに一度、出来なくなるときに受ける衝撃は筆舌に尽くしがたいものがあります。そして、もう一度取り戻すためには強い覚悟、意志が求められます。

さらにそれを支える家族の理解と社会の共鳴、医療者の存在が車の車輪となって力強く進まなければなりません。


NHK新潟で放送された失語症のリハビリに関する記事です。

 

続けることの重要性とご家族のすてきな(特に御主人の照れくさそうな)笑顔が印象的な内容です。

読後には元気をいただきました。